梱包の基準について 【梱包改善専門部会】

すべての航空貨物は、内容品が木箱・段ボール箱などで完全に梱包(密閉)された状態で航空会社、または代理店に引き渡されなければなりません。一部の貨物については、一定の条件を満たす場合にスキッドや木枠のみの梱包(部分梱包〉での輸送が可能です。
航空貨物は限られたスペースに効率良く積み付ける必要があるため、梱包に際しては3mの高さまで段積みされることを想定し、上面には充分な強度を持たせ、かつ平坦な形状となるように梱包されていなければなりません。
以下、具体的な梱包の基準をご説明いたします。


(1)特例梱包貨物


下記品目につきましては、一定の条件を満たす場合に限り、スキッドや腰下付木箱(スキッドの付いた木箱〉、枠組箱、並びに腰下盤(大型/重量貨物を載せる為のスキッド付きの台)での輸送が可能です。
詳細は担当の代理店・フォワーダー又は航空会社にお尋ね下さい。

■品目:ガラス板、ガラス製品
梱包部会
■梱包条件
充分な緩衝材を使用し、充分な強度を持った腰下付木箱(スキッドの付いた木箱)、枠組箱を外装に使用する場合に限り輸送が可能です。木箱はいずれも「すかし形式」(密閉されておらず内部が外側から見える〉のものでも可です。

■品目:バッテリー
梱包部会
梱包条件
充分な強度を持った外装で3mまでの段積み(重ね積み)に耐えられる場合に限り、スキッド(含シュリンク包装・ストレッチ包装)での輸送が可能です。但し、製品とスキッドが充分な強度にて固縛されていることが必要です。

■品目:繊維製品(反物、絨毯、ロール状の物)
梱包部会
梱包条件
繊維製品外装は濡損を避ける為に包装用ポリエチレンフィルムで個装し、スキッド等の底板と製品が充分な強度で固縛されていることを条件に、スキッド(含シュリンク包装・ストレッチ包装)での輸送が可能です

■品目:セメント袋
梱包部会
梱包条件
袋は底板に納まる大きさとし、包装用ポリエチレンフィルム等で複数個を包装し、スキッド等の底板と製品が充分な強度にて固縛されていることを条件に、スキッド(シュリンク包装・ストレッチ包装)での輸送が可能です。

■品目:ボンベ
梱包部会
梱包条件
内容品(気体・液体〉の流出を防ぐ為、ロ金(キャップ)部分に保護カバーを被せる等の対策を施すことを条件に、ボンベそのままの形での輸送が可能です。但し、形状が複雑で取り扱いにくく、他の貨物と一緒に航空機用パレット・コンテナに積みにくいもの、及び重量が非常に重いものや大量に出荷されるものは腰下付

■品目:ドラ厶缶
梱包部会
梱包条件
ボンベ同様、蓋が確実に閉めてあり内容品の流出が防げる状態であれば、そのままの形での輸送が可能です。但し、非常に重いものや大量に出荷される場合はボンベ同様、腰下付木箱(スキッドの付いた木箱)や枠組箱での梱包が必要となりますので、事前にご相談下さい。
梱包部会
(注〉形式「1Aljのドラム缶については、内容物の漏洩防止のために個別にオーバーパック梱包を義務付けている航空会社があります。詳しくは担当代理店・フォワーダー・航空会社までお尋ね下さい。

■品目:ケーブル
梱包部会
梱包条件
スキッドと製品は充分な強度で固縛されていることを条件に腰下盤(大型ノ重量貨物を載せる為のスキッド付きの台)での輸送が可能です。

■品目:オートパーツ
梱包部会
梱包条件
オートパーツ(自動車部品)については、充分に強度のある段ボールや木材で四辺が覆われている、木枠・鉄枠の場合は、内容品難薦潤材を使用するなどして内容品が動かない、段積みが可能なように充分な強度がある材質で全面を覆う、ことが輸送の条件となります。

■品目:自動車・オートバイ
梱包条件
航空貨物の分類上「危険物」に該当しますので、危険物輸送規則に沿った取り必要となります。詳しくは担当代理店・フォワーダーまたは航空会社までお尋ね下さい。

■品目:タイヤ
梱包条件
数量が多い場合やサイズが大きい場合、航空会社によっては無梱包での受託をお断りする場合があります。詳細は担当代理店・フオワーダー・航空会社にお尋ね下さい。

(2)箱詰梱包貨物

箱詰梱包には紙箱、木箱、スチールボックスがありますが、紙箱の代表的なものとして段ボール箱(JISZ1506)を、 木箱の代表的なものとして普通木箱、腰下(スキッド〉付き木箱、枠組箱を説明します。

A〉段ボール梱包(JIS規格Z1506)

①一般的な規格 JIS規格上の段ボール梱包は外装を含めた総重量が1個50kg以下、長さ十幅十高さの合計が250cm以下となっています。

②最小サイズ 必要な貨物ラベル(コンビネーション・ラベル;102mm×128mm、危険品ラベル等)が貼れる面が取れる大きさが必要です。 (注〉一部の航空会社では貴重品を輸送する場合の貨物の最小サイズが決められています。 詳しくは担当代理店・フォワーダー又は航空会社までお尋ね下さい。

③最大サイズ・重量 一般的に人手でスムーズに動かせる重量は1個20kg程度、大きさ50×40×30cm程度とされております。これ以上のサイズ・重量の場合は材質の強度を上げ、フォークリフトの使用を考慮してスキッドを装着して下さい。

④強度 航空機の貨物スペースを有効に利用するため、航空会社は最大高さ3mまでの段積みを行います。下段に積まれた貨物は、 上段の貨物の自重に加え、航空機が運航中に受ける荷重(通常2G程度)も合わせて受けることになります。 これらを考慮した上で、段ボール箱については充分な強度を持った材質・構造のものをご用意頂く必要があります。 JAFA/ICAJの共同調査では、空港での貨物受託時に「不適切梱包」と判定された貨物の56%が段ボール梱包貨物であり、 また不適切と判定された理由の33%が強度不足となっております。大切な貨物を安全・確実に輸送する為にも、 充分な強度の段ボール箱をご使用下さい。使用するダンボールの種類と、それに見合ったサイズ・重量の組合わせの 目安を資料に掲示致しましたので、ご参照下さい。

ダンボールの適切な梱包例
梱包部会
・貨物と同サイズのスキッドの使用
・バンドルによる貨物とスキッドとの固縛
・各縁にコーナーパッドの装着
・天板の状態がフラット(段積み可能)であることが条件になります。

不適切な梱包例(強度不足)
梱包部会
段ボール箱の強度が不足しており、貨物の破損につながります。

不適切な梱包例(迷惑梱包)
梱包部会
形状が不適当なため、貨物スペースを専有し、他の貨物が予約便に積めなくなる場合があります

(注1)一部の航空会社では発泡スチロールを外装として使用することが認められておりません。
詳しくは担当代理店・フォワーダー又は航空会社までお尋ね下さい。

(注2)航空機用パレットを使用した積み付けの場合、貨物積み付け後パレット全体にナイロン製のネットを掛けて貨物を固定します。この時ネットを強く「締める」作業を行いますので、強度が不足している段ボール箱は角の潰れや変形が起きることがあります。これを防ぐ為にも、充分な強度を持った段ボール梱包をご用意下さい。

B〉木箱掘包・枠組箱梱包

①一般的な規格 木箱梱包には普通木箱(JIS規格Z1402、内容重量200kg以下、体積1m3以下)、下(スキッド)付き木箱(JIS規格Z1402、 内容重量1,5t以下、3辺の合計7m以下〉、枠組箱(JIS規格Z1403、内容重量500kg以上60t以下)、等があります。 いずれも密閉形式(木板及び合板)と「すかし」形式(密閉されておらず内部が外側から見える)の利用が可能です。

②強度
木箱梱包の強度としては高さ3mまでの段積みに耐え、かつ他の貨物と接触してもたやすく穴が開いたり損傷したりしない
ことが必要です。又貨物の上部を完全に覆い、上積みが出来る強度を持たせて下さい。

③腰下(スキッド)
木箱梱包・枠組箱梱包の場合は通常フォークリフトで取り扱いをしますので腰下(スキッド)を装着して下さい。
腰下(スキッド)を装着する場合は、貨物本体と腰下(スキッド〉が確実に固定され、フォークリフトで何回取り扱っても
損傷したり貨物本体から外れたりしないだけの強度が必要です。またフォークリフトの爪がきちんと挿入できるだけの
充分な高さ(通常10cm〉をスキッドに確保して下さい。

代表的な木箱と重量の組合わせの目安を資料編に掲示致しましたのでご参照下さい。

(3)マーキング


個々の貨物を区別する為のケースマークの貼付又は記入を徹底して下さい。

「天地無用」「FRAGILE(こわれ物)」「重心位置マーク」「FORKLIFTENTRYマーク」等のラベルやマーキングは見易い
位置に必要な数を確実に貼付又は記入して下さい。

梱包・外装を再使用される際は、以前の貨物ラベルやマーキング、ショックウオッチ等を完全に剥すか消して下さい。