危険物取扱改善専門部会(BIAC/JAFA共同研究部会)

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1)危険物取扱改善専門部会とは

航空貨物輸送業務に関連する諸問題についての検討、改善を行うBIAC(Board of International Airfreight Carriers・国際航空貨物航空会社委員会)/JAFA(Japan Aircargo Forwarders Association・航空貨物運送協会)共同研究会のひとつです。国際航空貨物を扱う荷主に対し、危険物輸送における荷主責任を理解していただき、無申告危険物輸送を防ぐための啓蒙活動を目的としています。具体的な活動内容として、BIAC/JAFA共催の定期専門部会、ワーキンググループ、講習会の開催等が挙げられます。


2)航空貨物における危険物とは

爆発性、易燃性及び毒性などの人の健康や環境などに著しく危害を与える可能性のある物品や、他の搭載物や機体に損傷を与え、安全運航に支障をきたす可能性のある物品の総称です。これらの物品はIATA危険物規則書(IATA Dangerous Goods Regulations)で分類されており航空輸送する場合、荷主の責任のもと規則書に従って正しく梱包し、危険物申告書(Shipper's Declaration for Dangerous Goods)を作成しなければなりません。


3)講習会

下記の講習会をBIAC/JAFA共催で開催しております。 <危険物取扱実務者講習会> IATA危険物規則書に沿って危険物の分類、識別、梱包等について荷主の皆様に ご理解していただくための実務者への講習会です。規則に従い正確な梱包を行い、危険物申告書を正しく作成していただくための実務知識の習得を目的としています。現場の実務者の方々が主な対象となりますが、JAFA会員や航空会社の方々も参加が可能です。


4)航空貨物としての危険物輸送について<安全な輸送のために>(第5版抜粋)


<荷送人の責任 (IATA危険物規則書からの抜粋及び補足)>


危険物の輸送については、輸送中の安全を確保するため、各種法令に従い輸送しなければなりません。ここではIATA危険物規則書の「荷送人の責任」(IATA危険物規則書セクション1.3)をご説明します。

①各種法令遵守
「荷送人は危険物貨物をIATA加盟・準加盟航空会社に運送委託する場合、IATA危険物規則書の全てを遵守しなければならない。 さらに、荷送人は貨物の発地国、経由国、着地国が定める全ての適用法令を遵守しなければならない。」
また、航空会社が定める例外規定も遵守しなければなりません。

②危険物の正しい分類と国連正式輸送品目名の割り当て
IATA危険物規則書の分類基準に従って分類し、定められた正しい国連正式輸送品目名を使用しなければなりません。

③梱包に関する一般責任
梱包方法及び容器が定められた基準に合致していること、及び正味重量又は容量が定められた量以下であることが要件となります。

④マーキング及びラベルの貼付責任

⑤「危険物申告書」(規定の様式)の作成責任
*参考文献:航空危険物安全輸送協会(JACIS)「航空危険物規則書第52版邦訳」

罰則

航空機による危険物の輸送は安全に大きくかかわる問題であり、所定の法令・規則等を遵守しない場合には、乗客・乗員の生命の危機に直結する可能性があります。 そのため、航空法に次のように規定されています。また法令違反の際の罰則についても以下のように定められています。

①航空法
第86条
1.爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれのある物件で、国土交通省令で定めるものは、航空機で輸送してはならない。(100万円以下の罰金、第145条)
2.何人も、前項の物件を航空機に持ち込んではならない。(50万円以下の罰金、 第150条)

②「IATA危険物規則書は、ICAO技術指針の全ての要件に適合している。従って、荷送人が本規定に違反して危険物を輸送する場合には法令違反になり、処罰の対象となる。」(IATA危険物規則書セクション1.3.1.2)

③罰則の内容は各国の法令によります。
例:米国 違反一件毎に、その内容に応じて最低250ドルからの最高27,000ドルの罰金。(49CFR PART107 Subpart D Enforcement)


事故事例 -無申告危険物が事故に繋がった事例-

①1996年5月 マイアミ空港を出発した旅客機に離陸直後火災が発生し墜落した。 原因は危険物(化学酸素発生器)が偶発的に作動し、梱包不良のため火災に至った。 当該事故により当危険物は旅客機輸送禁止となった。

②1999年9月 国内輸送で徳之島空港において蓄電池の電解液(腐食性物質)が漏れ、コンテナの底面が液漏れのため腐食し穴が開いた。原因は無申告且つ梱包不良による液漏れであった。

③2000年3月 北京発クアラルンプール行きの旅客機の下部貨物室に搭載された約2トンの化学物質が運送飛行中に大量の液漏れを発生し、毒物を含む化学物質により貨物室、配電盤、ランディングギアが腐食してしまった。到着空港にて取り卸し作業をした5名の空港作業者が罹災した。原因は当該化学物質の無申告且つ梱包不良による液漏れであった。除法作業の整備費用が高額になったため当該航空会社は整備を断念し、航空機を廃棄処理した。

④2002年9月 上海から到着したエクスプレスメールが日本橋郵便局で開梱中に作業者5名が倒れ、病院に搬送された。原因は内容物が腐食性物質に該当する化学物質で無申告且つ梱包不良による液漏れである。なお、万国郵便法では、一部の危険物を除き、郵便による危険物は受託禁止されている。


教育訓練

BIAC/JAFA共催航空危険物実務者講習会
(社)航空貨物運送協会(JAFA)…03-5695-8451